2010年 06月 12日
人吉の画家U先生の訃報 |

何度目の人吉で面識を得たか記憶が薄れてしまいましたが、このブログで、度々登場している人吉在住の画家U先生が先週末他界されてしまいました。これで次からの人吉行がすこし寂しくなってしまいました。自宅へ訪ねなくても、「おい見かけたぞぉ、なんで寄らないの」なんて笑って後で声を掛けてくれる人が居なくなり実に寂しい気分です。
4月下旬も体調を崩されていて、入院加療中。ちょうど当方が人吉を訪問した日は一時退院の日、体調が良ければ絵の教室にいらっしゃるとのことで、作画中の絵の仲間達を冷やかしながら暫く待っていましたが、家を出る体力は無かった様子。けっきょく次回体調の良いときに、と思い電話だけで失礼したのではありました。
携帯から聞こえた声はそこそこ元気でしたし、「今度こそ釣りに行こうよ」という最後の言葉だけが虚しく記憶に残ります。まだ、60台前半、それほどの年でもないし早すぎますね。
細かいところはよくわかりませんが、お子さん達が小さい頃、ウィーンにかなりの期間留学し、マックス・デルナーという古典技法の研究家でもあった画家の直系の弟子であるルドルフ・ハウズナーという方について古典技法を学ばれたとのことです。お茶をいただきながら、ウイーンのころのアルバムを見せて頂いた時に伺った話しなので、記憶も定かではありませんが、日本へ帰ってから京都の美術系大学でしばらく教えられ、その後人吉へ戻られたようです。
デルナーの研究書の邦訳が在るらしいのですが、その中の誤謬を何度かぼやいているのを聞きました。そんな話しを聞く度に、正統の古典技法の書籍をまとめるようにお勧めしていたのですが、それはもうかないませんね。誠実な方でしたし、実践的な中での知識と思いますので、まとまれば良い参考書になったのではないかと思わずにいられません。そこに手を付けない、影が在ったような気もしますが、それを語ることはありませんでした。
板に下地を塗る話しや、メディウムの作り方の話し、白い絵の具の下塗りと透明感の話し、グレーズとよぶ重ね塗りの話し、どれもなかなか興味深く聞かせていただきました。
細い面相筆で描き出すディーテイルは細密で写実的だけれども、全体の構成の根底は抽象。モチーフの普遍性にこだわる、独特の存在感のある作品をアトリエや画展で拝見しています。極細の筆で、一筆一点を塗り重ね、そこに「時」を塗り込めて内省的で普遍的な心象を引き出してゆくような表現ではなかったかと、素人なりに思い返しています。朽ちかけた鳥の死骸や、白い羽毛の中の卵、化石、造花、マリオネット人形、そんなモチーフがそんな感想をより強くします。普段の明るさとは、まったく違った几帳面で内省的な表現ではありました。
62歳まだ早いよね。U先生こと、牛島義弘さん…
秋葉ゑこう
(画像は人吉市大畑駅の元石炭貯蔵庫、4月最後にU先生と話した日に撮影)
by akiba-echo
| 2010-06-12 04:24
| 独り言
|
Comments(4)
スバラシイ絵にみとれてしまいました。U先生の作品、見てみよう…。ゑこうさん、この時間はしみじみしちゃいけない時間ですよ。とてもすばらしい方だったんですね。「おい見かけたぞお…」って人柄が良く出てますね。山口は今朝焼けがきれいです。もう梅雨入りでしょうか…
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こりすさん、朝も早くから…いらっしゃいませ。
U先生の画壇での評価というのは、良く知りません。そういうことの外側で生きていたような気もします。残念ながら、インターネット上には2点ぐらいしか絵の画像はありませんね。小さいのでよくわかりませんが、2点とも当方の知る画風とは違うものです。手放した絵はかなり少ないのかも知れませんね。緻密な画法ですし、1つの作品にかかる時間は並大抵のものではありません。手元に残している絵に彼らしいもの以外では、あまり作品が世に出ないと言うことなのでしょうか。それでは評価もされにくいですね。もっと知られてもよい方だと思うのですが、そういうことにあまり関心がなかったのかもしれません。
U先生の画壇での評価というのは、良く知りません。そういうことの外側で生きていたような気もします。残念ながら、インターネット上には2点ぐらいしか絵の画像はありませんね。小さいのでよくわかりませんが、2点とも当方の知る画風とは違うものです。手放した絵はかなり少ないのかも知れませんね。緻密な画法ですし、1つの作品にかかる時間は並大抵のものではありません。手元に残している絵に彼らしいもの以外では、あまり作品が世に出ないと言うことなのでしょうか。それでは評価もされにくいですね。もっと知られてもよい方だと思うのですが、そういうことにあまり関心がなかったのかもしれません。
ゑこうさんとのご縁で、ご冥福を祈るものであります <(_ _)>
雨漏りさま>お気遣いありがとうございます。

